かげむし堂

音楽と、音楽家と、音楽をめぐる物語について。

【連載】春秋社PR誌『春秋』2017年10月号「フェルディナント・リース物語」第1話掲載

春秋社さん刊行のPR誌『春秋』にて、「フェルディナント・リース物語」の連載がスタートしました。4ページ×全6回(予定)で、私が数年前より追いかけている音楽家、フェルディナント・リースの人生を辿ります。

 

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第1話掲載の2017年10月号(No.592)では、彼が“音楽の楽園”ことボンの中でどのように生まれ育ち、16歳でウィーンへの音楽修業の旅に出るに至ったかを綴っています。

 

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リースの少年時代(1792年)のボン。建物はリース家やベートーヴェン家が代々音楽家として
つとめていた選帝侯宮殿。

 

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現在、ボンの街の一角に「リース通り」があります。

 

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というかまずはご尊顔を紹介すべきでした。
フェルディナント・リース Ferdinand Ries(1784-1838)

 

6回もかけるほど語ることあるの?とツッコまれそうですが、ちゃんとあります(キッパリ)。リースの知名度って、現在のところほぼほぼ「ベートーヴェンの弟子」としての知名度とイコールだと思うのですが、この連載では、16~20歳の師弟時代だけではなく、「それ以前(幼少期)」と「その後(成人以降)」の彼の姿、すなわち揺りかごから墓場までを描いていきたいと考えています。そんなわけで、第1話のタイトルは「楽園の揺りかご」。

ベートーヴェンの人生とリースの人生は(師弟関係が終生きわめて良好だっただけに)そうそう容易に切り離せるものではないのですが、バディでありつつ、ときに全く別のフィールドで闘うこともあり、リースはベートーヴェンの背中を追いかけているように見えがちだけれども、リースのほうが時代の先に立っている瞬間もあったりする。性格の違いもおもしろくて、ベートーヴェンは意外と安定を夢見ていて、リースはむしろスリルがないと生きていけないタイプ……とか、案外イメージと逆だったりもする。ほかにも色々あるんですけど、この連載を通して、少しでも「予想外のリース像」をお伝えできればうれしいです。


いつも一読者としてお世話になっている春秋社さんにお声がけをいただくとは思いもよらず、「私でいいんですか?ていうかリースでいいんですか!?」と何度も聞き返してしまった記憶がありますが(リースに失礼)、うまく方向づけをして落とし所を決めてくださったことを心から感謝しております。編集さんってすごい。

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